実績・事例

日本社会のデジタル化を推進するサービスデザイン手法による取り組み

プロジェクトの概要

官公庁、民間企業におけるサービスデザイン手法を用いたサービス企画、プロダクト開発、業務改革(BPR)等の支援

プロジェクトの背景

近年、デザイン思考や人間中心思考、UI/UXの重要性の高まりから、サービスデザイン手法を用いて新規サービスの開発や業務改革を行うプロジェクト実行支援の依頼が増加しています。
サービスデザイン手法はサービスやプロダクト開発、業務改革等のあらゆる分野で適用可能な再現性のあるプラクティスであり、国内でも様々な場面でサービスデザインが注目されるようになる中、Xspear Consultingもグループ会社であるシンプレクスのUI/UXデザインチームAlceoと共に、官民問わず多数の関連プロジェクトに取り組んでいます。当事例紹介ではこれらサービスデザインに関する事例、および当社のアプローチをご紹介します。

取り組み

サービスデザイン手法は欧州でその概念が生まれ、定義等についてはいくつかありますが、当社ではサービスの提供相手であるユーザの視点に立つことですべてのタッチポイントに新たな価値を創出する方法論としています。
官公庁や自治体においては、職員だけでなく、エンドユーザとなる国民・住民視点で使いやすいサービスをデザインすることを考えています。
2022年にはシンプレクスと協力し、経済産業省における行政手続きのオンライン化100%に向けた取り組みをサービスデザインのアプローチを用いて支援しました。

行政手続のオンライン化100%に向けて。経済産業省とシンプレクスが取り組んだサービスデザインのアプローチ
https://www.simplex.inc/insight/1858/

その他にも、自治体や民間企業において、既に提供されているサービスを住民や消費者との接点でのユーザの体験に重きをおき、ジャーニーを描きながらの再設計や、長年継続してきた業務を職員や従業員の目線であるべき姿を描きながら業務改革の支援を行っています。
以降ではXspear Consultingが実施しているサービスデザインアプローチの手法の概要についてご紹介します。

サービスデザインアプローチの概要

リサーチ

リサーチでは、国内外の事例調査など、ビジネス目線での調査はもちろん、ユーザの潜在的な欲求・ペインにまで踏み込んだ課題抽出を試みます。
プロジェクトに強い仮説がある場合は仮説検証型で実施し、そうでない場合は探索型で進めていくなど、状況に応じて進め方や手法をカスタマイズして実施します。

リサーチの手法は様々ありますが、そのうちの一つにユーザインタビューがあります。ユーザインタビューは、ユーザが抱えている課題を発掘し、ユーザのインサイトを発見するために実施します。課題設定のために重要な工程である一方、インタビュイーの発言にとらわれ、真意を引き出せないと本質的でない課題を抽出してしまう危険性もあり、インタビュアーの技量が求められる工程でもあります。そのため、当社ではインタビューの専門スキルをもつメンバーが丁寧に課題抽出を行い、適切な課題設定に導きます。

また、リサーチの結果は、カスタマージャーニーマップやバリュープロポジションキャンバスといったフレームワークなど、プロジェクトに適した方法で整理していきます。これらの成果物はプロジェクト関係者の目線を揃えるためにも有用です。

アイディエーション

アイディエーションでは、リサーチで得たユーザのペインポイントを解消し、真のニーズを満たすための施策を広く洗い出します。発散フェーズでは、先述のリサーチ結果に則ることで、ブレないアイディエーションが可能です。時には関係者を集めてワークショップ形式で実施し、ディスカッションを通じてアイデアを発散させることもあります。
そして、収束フェーズでは、こうして挙がった各施策を評価し、MVP(Minimum Viable Product、価値を提供できる最小限のプロダクト)開発で盛り込むべき要素を選定していきます。

プロト開発

Xspear Consultingはコンサルファームでありながら、簡易なプロトタイプの作成まで実施することが可能です。
プロトタイプは、完成形の認識合わせを実現するだけでなく、後述のユーザテストの検証材料としても使用されます。本格的な開発に入る前に、作るべきものを見極めて、ブラッシュアップしていくことができるため、手戻りのリスクを減らすことも可能です。
また、シンプレクスのリソースも使いながら、迅速かつ的確にプロトタイプを作成することで、スピード感をもって本開発に繋げていくことができます。

ユーザテスト

ユーザテストにも種類はありますが、まずはコンセプトテストにて、プロジェクトが導いた解決案に本当に価値があるか、ユーザに価値が提供できているかを検証します。
そして、解決案の妥当性を確認できたのち、ユーザビリティ(使いやすさ)は十分であるかを検証し、結果に応じてプロトタイプもしくはプロダクトを改善していきます。
これらのプロセスを経ることで、ローンチ前にサービス/プロダクトの品質(ユーザの要求を満たす確率)を高めていきます。

今後の展開

グローバルと比較すると日本では導入がやや遅れているとされていましたが、最近の支援の依頼を考えると、利用者中心(人間中心)での設計を原則とするサービスデザイン体制の確立を目指している企業が増加しているように感じます。直接的なプロジェクトでの支援だけでなく、各企業に合わせたサービスデザイン手法の構築や、人材育成の一部としてサービスデザインに関連する研修の提供なども多くなっています。また、新規サービスの企画やBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)の支援にサービスデザイン手法を用いて実施する提案を行うと、興味を持たれるケースが増加しています。
また、デジタル庁では「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を」をメッセージとして掲げ、徹底的に利用者の視点に立つことで、情報機器に不慣れな人も含めて一人ひとりの状況に応じたきめ細かいサービスが低コストで提供でき、多様な国民、つまり、ユーザが価値ある体験をすることが可能となることで、誰一人取り残されることなく、多様な幸せが実現できる社会を目指しています。
Xspear Consultingでも、引き続き、様々なプロジェクトの中で真のサービスデザイン手法が浸透するよう様々な組織を支援していきたいと考えています。

関連するソリューション

  • ユーザインタビュー
  • カスタマージャーニーマップ
  • バリュープロポジションキャンバス
  • MVP開発
  • コンセプトテスト
  • ユーザビリティテスト

Managing Director

吉浦 周平

Managing Director

Shuhei Yoshiura

国内大手SIer、在ジュネーブの国連機関、外資系コンサルファーム(BIG4)を経て、シンプレクスに参画。官民問わずパブリック領域の案件を中心にコンサルティングサービスに従事。DX戦略策定、新規事業開発、次期システム構想検討、要件定義、アーキテクチャ設計、データ標準策定、先端技術(人工知能、ブロックチェーン、XR、IoT等)の実証・実装など、幅広いテーマで支援実績を有する。

担当者の記事一覧
吉浦 周平

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